終活をしておけば防げた相続トラブル

実際に相続をめぐるトラブルを目の当たりにし、話し方の研修を受けた経験があります。
兄弟6人のいるご家族で、お父さんが亡くなりました。一代で事業を始めて成功させた人のため、資産はたくさんあり、都内にマンションや土地などの不動産もたくさん所有していました。

ところが、お父さんが亡くなったあとの相続について兄弟6人がもめることになってしまったのです。お父さんの事業を継いでいるのは長男でしたが、最後まで両親と一緒に暮らして、介護をして看取ったのは末っ子の妹でした。

特に当時は今よりも、遺産相続で男性のほうが女性よりも多く分配される、という傾向にあった時代でした。結局都内の高い不動産は長男や次男が取り、末の妹は郊外の一軒家をひとつもらっただけとなったのです。

兄弟間で相続に関する不平不満が出たことで音信不通になり、今だに兄弟同士の遺恨が残っています。もしもお父さんが終活の一環で、相続に関する遺書を残したり、生前分与を行ったりしていれば、兄弟のきずなも壊れることはなかったのではないでしょうか。