生前整理について、祖母が取引先銀行の担当の方に相談したことがありました。内容は、財産についてだけではなく、身辺整理も含めてだったと、ずいぶん後に担当者から聞かされました。
思えば、知り合いの少ない土地で、一人で暮らしていた祖母が安心して頼れる所は、市役所か銀行くらいだったのかもしれません。買い物のついでのようにふらっと現れて、世間話をするかのように相談していたと聞いています。
担当者の方から生前整理について教えてもらった祖母は、残された時間をフルに使って、じっくり・ゆっくりと整理していったようです。
まず最初に始めたのは、身辺整理。庭にあるものや食器類の整理。重い物や嵩張るものは、腰を痛めるからと、少しずつ整理していきました。綺麗な物や珍しいものは、親戚や孫たちなど、欲しい人達にあげた残りをリサイクルショップなどに回します。それ以外のもので、使用できるものはリサイクルに。それ以外は、我々身内の者やシルバー人材センターの人達にお願いして、市の資源物に出したりしました。子供達の作品などは、本人の同意を得てから処分したそうです。
次に着物などの衣類。お茶をたしなんでいる人に差し上げたそうです。
そうやって、時間をかけて少しずつ整理していき、身の回りの物くらいになった頃に、孫やお墓を守ってくださっているお寺に、学費や永代供養料という名目でお金を送り、残ったものについて、誰にどのくらいを与えるか遺言書を作成しておりました。
おかげで、彼女が他界してから、もめることも悩むこともなく、彼女が望んだように、すっきりとしたお葬式をあげることができました。
生前整理は、体力があるうちに、時間をかけてじっくり&ゆっくりと進めると良いようです。